【医師監修】乳房のしこり・乳頭の白い点(白斑・乳口炎)の対処|家でできるやさしいケアと受診の目安

乳房のしこり・乳頭の白い点(白斑・乳口炎)の対処|家でできるやさしいケアと受診の目安(母乳ナビ・医師監修)

授乳中に、乳房の一部にコリッとした「しこり」を感じたり、乳頭の先に白い点(白斑・乳口炎)ができて授乳のたびにチクッと痛む——そんな経験はありませんか。どちらも授乳期にはよくみられるトラブルで、多くは家でのやさしいケアと様子見で落ち着いていきます。ここではしこりや白斑の正体、家でできる対処、避けたいこと、受診の目安を医師監修でまとめます。

本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。症状の感じ方には個人差があり、実際の診断・ケアの内容は状態によって異なります。判断に迷うときや痛みが強いときは、早めに母乳外来・助産院・産婦人科にご相談ください。

乳房の「しこり」の正体

授乳中に感じるしこりの多くは、母乳が乳腺の中にたまって流れが滞ったもの(うっ滞)です。乳房の一部が張って硬くなり、押すと痛むことがあります。飲ませたり搾ったりして乳汁が流れると、やわらかくなっていくことが多いとされています。

乳栓(にゅうせん)とは

乳管(母乳の通り道)の出口付近が、濃くなった乳汁や脂肪分で一時的にふさがれることがあります。これを「乳栓」や「乳管の詰まり」と呼びます。その先に母乳がたまって、小さなしこりや張りとして感じられることがあります。授乳や搾乳で流れが戻ると、自然にとれていくことが一般的です。

しこり=すぐに心配、ではありません。ただし、赤み・熱っぽさ・強い痛み・発熱をともなうときは、うっ滞から乳腺炎に進んでいることもあります。見分け方は乳腺炎とは・受診の目安もあわせてご覧ください。

乳頭の先にできる「白い点」——白斑・乳口炎

乳頭の先端に、白いニキビのような点や、うっすら白い膜ができることがあります。これは「白斑(はくはん)」や「乳口炎(にゅうこうえん)」などと呼ばれ、乳管の出口が薄い皮膚や乳汁の固まりでふさがれた状態と考えられています。

  • 授乳のときに、その部分がチクッ・ピリッと刺すように痛むことがあります。
  • 白い点の奥に母乳がたまり、乳房側にしこりや張りを感じることもあります。
  • ふさがれた出口から母乳がうまく流れると、痛みが和らいでいくことが多いとされています。

家でできるやさしい対処

しこりや白斑があるときは、「詰まったところの先の母乳を、やさしく流してあげる」ことが基本と一般に考えられています。無理な力は禁物です。

1

あたためて授乳

授乳や搾乳の前に、蒸しタオルなどで乳房をやさしくあたためると、母乳が流れやすくなるとされています。

2

詰まり側から飲ませる

しこりのある側から先に授乳し、赤ちゃんの下あご側がしこりに向くよう抱き方を工夫すると流れやすいといわれます。

3

そっとケア

授乳後は必要に応じて冷やして休めます。強いマッサージや圧迫は避け、様子をみます。

白斑の部分は、授乳前に清潔にして少しあたためることで、自然に母乳が流れ出て落ち着くこともあります。ケアをしても改善しない・痛みが強いときは、自己判断で処置を続けず専門家に相談しましょう。授乳や抱き方の具体的なコツは授乳・搾乳のコツにまとめています。

やってはいけないこと

⚠️ 無理な処置は避けてください

  • 針や爪、ピンセットなどで白斑を自分で潰す・こじ開ける——傷や細菌感染の原因になり、かえって悪化することがあります。
  • しこりを強い力でグイグイ押す・もむ——組織を傷つけ、腫れや痛みが強くなることがあります。
  • 痛みを我慢して授乳を無理に続ける、または自己判断で授乳を急にやめる——うっ滞が強まることがあります。
  • 市販薬や消毒薬を乳頭に自己判断で使う——赤ちゃんが口にする部分です。使う前に専門家へ相談を。

白斑や乳栓の処置が必要かどうかは状態によって異なります。無理に自分でどうにかしようとせず、母乳外来・助産院・産婦人科で相談すると安心です。

受診・相談の目安

次のようなときは、我慢せず専門家に相談しましょう。

🚨 早めに相談したいサイン

  • しこりのある部分が赤く腫れて熱っぽく、強く痛む
  • 38.5℃以上の発熱・悪寒・関節痛・だるさなどの全身症状がある
  • セルフケアをしてもしこりや白斑が数日たっても改善しない・くり返す
  • 白斑を触った部分から膿や血が出る・傷が悪化している
  • 痛みが強く、授乳を続けるのがつらい

発熱や強い赤み・痛みをともなうときは、乳腺炎に進んでいる可能性があります。早めの相談が大切です。夜間や休日で迷うときは、地域の救急相談窓口(#7119 など)も活用できます。

どこに相談すればいい? 授乳の続け方やしこりのケアは母乳外来・助産院、発熱や膿が疑われるときは産婦人科が受診先の目安です。
👉 受診前のセルフケア受診先の選び方もご参照ください。

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白斑を自分で開けてはいけない

乳頭にできた白い点を、針やピンセットで自分で取り除こうとする方がいますが、これは避けてください。乳頭に新しい傷をつくることになり、そこから細菌が入って化膿性乳腺炎の原因になります。処置が必要な場合は、医療機関や助産院で清潔な環境のもと行われます。

なお、授乳のあとに乳頭が白っぽく変色して痛む場合は、白斑ではなく血管のれん縮(レイノー現象)のことがあります。ガイドラインも「乳頭上の白斑」から除外するものとしてこれを挙げています。見分け方は授乳のたびに乳頭が痛いときで説明しています。

白斑ができる背景

白斑(乳口炎)は、乳管の出口が皮膚におおわれたり、乳汁の成分が固まったりして詰まった状態と考えられています。背景には、しばしば次のような要因があります。

  • 含ませ方が浅い:乳頭の一部に強い圧がかかり続けます
  • 特定の抱き方に偏っている
  • 乳頭が繰り返し傷ついている
  • 授乳間隔が空きがち

白斑が繰り返すときは、その場の処置よりも授乳の姿勢を見直すことが根本的な対応になります。助産師や母乳外来で実際に授乳の様子を見てもらうのがもっとも近道です。

しこりが残ったとき

乳腺炎が治ったあとに硬い部分だけが残ることがあります。炎症のあとのしこりは珍しくなく、多くは時間とともに小さくなります。

ただし次のような場合は、確認しておいたほうが安心です。

  • 熱も痛みも引いたのに1か月以上小さくならない
  • だんだん大きくなっている
  • 硬く、動かず、周囲との境目がはっきりしない
  • 同じ場所で乳腺炎を繰り返す
  • 乳頭からの血性の分泌、乳頭のへこみ、皮膚のひきつれをともなう

これらは「乳腺炎の説明では合わないところがある」というサインです。乳腺外科で超音波検査を受けてください。授乳中でも受けられます。

ぶよぶよした部分があるとき

硬いしこりとは違い、波打つように柔らかい部分があるときは、膿がたまった乳腺膿瘍の可能性があります。抗菌薬だけでは治まらず、膿を出す処置が必要になります。

早い段階なら細い針で吸い出す処置で済むことが多く、遅れるほど切開が必要になります。様子を見ずに乳腺外科へ向かってください。

参照ソース(一次情報)

🩺 医師監修
参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」、公益社団法人 日本助産師会、国立成育医療研究センター等の一般向け情報にもとづき作成。
本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断・治療に代わるものではありません。しこりや白斑の処置が必要かどうかは状態により異なります。痛みが強いとき・発熱をともなうとき・改善しないときは、自己処置を続けず医療機関や母乳外来・助産院にご相談ください。受診の前には各施設へお電話での確認をおすすめします。(情報更新日:2026-07-16)
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