つらい状態で電話をかけるとき、何をどう伝えればよいのかがわからず、うまく話せないことがあります。症状と状況を整理して伝えられると、当日みてもらえるか・どこを受診すべきかが一往復で決まります。電話の前にさっと目を通せるチェックリストです。スマートフォンでこのページを開いたまま電話していただいて構いません。
🚨 まず、こんなときは急いで相談を
38℃以上の発熱/激しい痛み/膿や血が混じる/乳房の一部がぶよぶよと柔らかい/24時間たっても改善しない——このようなときは、整理を待たずにまず電話してください。夜間・休日で迷うときは♯7119(救急相談センター)が使えます。
① 電話で伝えること
- いつから・どんな症状か
例:「昨夜から右の胸の外側が赤く腫れて、押すと強く痛みます」 - 体温(測った時刻もあわせて。悪寒や関節痛があればそれも)
- 乳房の状態(しこりや赤みの場所、膿・血が出ていないか、ぶよぶよした部分があるか)
- 授乳の状況(授乳・搾乳はできているか、赤ちゃんは飲めているか)
- 出産からの週数・月数と出産した施設名
- 持病・服用中の薬・アレルギー(授乳中であることは必ず伝えます)
- これまでにしたこと(授乳を続けた、冷やした、薬を飲んだ)と、その効果
- 受診できる時間帯・移動手段(どのくらいで行けるか)
すべてを完璧に話す必要はありません。「いつから・どこが・体温・授乳できているか」の4点が伝われば、相手は判断を始められます。
② 施設に確認すること
- 今日みてもらえますか?(受付時間・予約の要否・待ち時間の目安)
- 乳腺炎(母乳トラブル)に対応していますか?
- 他院で出産しましたが受診できますか?(下記の注意点を参照)
- 費用の目安と支払い方法(保険診療か自費か、カードが使えるか)
- 持ち物
- 赤ちゃんを連れて行ってよいか(同伴の可否、預かりの有無)
- 上の子を連れて行ってよいか
「当院で出産した方のみ」の外来があります。産婦人科や母乳外来の中には、自院で出産した方を対象としているところがあります。里帰り出産や引っ越しで出産施設が遠い場合、「他院で出産しましたが受診できますか」を最初に確認してください。これを聞かずに向かって受診できなかった、というのは実際に起こります。
③ 持って行くもの
- 健康保険証・診察券(かかりつけがある場合)
- 母子健康手帳
- お薬手帳(服用中の薬・アレルギー情報)
- 症状のメモ(下記のテンプレートをご利用ください)
- 授乳ケープ・タオル・母乳パッド・替えの下着
- 赤ちゃんを連れて行く場合:おむつ、着替え、ミルクなど普段の外出セット
- 現金(自費診療の可能性に備えて)
④ 症状メモのテンプレート
そのまま書き写して使えます。時系列で書いておくと、電話でも診察でも同じものが使えます。
| 症状が出た日時 | 月 日 時ごろ |
|---|---|
| どこが | 右 ・ 左 / 上・下・内側・外側 |
| 体温の推移 | 時 ℃ / 時 ℃ / 時 ℃ |
| 全身症状 | 悪寒 ・ 関節痛 ・ だるさ ・ なし |
| 授乳・搾乳 | できている ・ 痛くてつらい ・ できていない |
| 飲んだ薬 | ( 時に服用) |
| 出産から | 産後 か月 週 |
| 持病・アレルギー |
⑤ 診察のときに聞いておくとよいこと
受診したあとで「聞き忘れた」となりやすい項目です。
- 授乳は続けてよいですか(続け方に注意点があるか)
- この薬は授乳中に使えますか(飲むタイミングに指定があるか)
- どのくらいで良くなりますか(改善しない場合はいつ再受診すべきか)
- どうなったらすぐ来るべきですか(悪化のサイン)
- 次はいつ来ればよいですか
- 膿がたまっている可能性はありますか(検査の要否)
とくに「どうなったら、すぐ来るべきか」は必ず確認してください。これを聞いておくと、帰宅後に判断で迷わずに済みます。
電話で伝える内容には、乳房以外の症状(下腹部の痛み・悪露の変化・背中の痛み・のどの痛み)も加えてください。理由は産後の発熱は乳腺炎とは限らないで説明しています。
電話がつながらないとき
母乳外来や助産院は少人数で運営されていることが多く、施術中は電話に出られないことがあります。つながらないからといって、そこであきらめないでください。
- 候補を2〜3施設用意しておく:1件目がつながらない前提で動くと早く進みます
- 時間帯を変えてかけ直す:診療開始直後や昼休み明けはつながりやすいことがあります
- 予約フォームやメールがある施設もある:公式サイトを確認してみてください
- 出産した施設に電話する:他院への紹介も含めて案内してもらえることがあります
- 夜間・休日で判断に迷うなら♯7119
本サイトの区ページは、この「候補を並べておく」用途を想定して作っています。つらくなってから探し始めるのではなく、産後の落ち着いているうちに近くの施設を見ておくと、いざというときに動けます。
受診当日の流れ
はじめての施設だと勝手がわからず不安になります。おおまかな流れを知っておくと落ち着いて臨めます。
- 受付:保険証・診察券を出します。問診票を書くことが多いので、症状メモがあるとそのまま書き写せます
- 問診・診察:症状の経過を聞かれ、乳房を診てもらいます。授乳中であることを改めて伝えてください
- 必要に応じて検査:超音波検査が行われることがあります。授乳中でも受けられます
- 説明・処方:今後の見通しと、悪化したときにどうすべきかを確認します
- 会計・調剤:薬局でも「授乳中です」と伝えてください
よくある質問
大げさだと思われないでしょうか
そう感じて受診を先延ばしにする方は多いのですが、乳腺炎は放置すると膿瘍に進むことがあります。医療者の側は、早い段階で来てもらうほうが対応しやすいと考えています。診てもらって「大丈夫でした」となるのが最良の結果です。
赤ちゃんを預けられません
多くの施設では同伴が可能ですが、扱いは施設によって異なります。電話の際に「赤ちゃんを連れて行きます」と伝えて確認してください。待ち時間の見通しも一緒に聞いておくと準備しやすくなります。
上の子の学校・保育園の時間に間に合いません
受診できる時間帯を電話で先に伝えてください。「◯時までに出たい」と言えば、それに合う枠を案内してもらえることがあります。言わなければ相手には分かりません。
費用について
費用の考え方は受診先によって異なります。
- 医療機関での診察・治療:病気の治療にあたるため、健康保険が適用されるのが一般的です
- 助産院・母乳相談室でのケア:自費のことが多く、金額は施設によって異なります
- 自治体の産後ケア事業:条件を満たせば自己負担が軽減されることがあります。ただし乳腺炎など治療を要する状態は対象外としている自治体もあります(→産後ケアが使える場面・使えない場面)
いずれも施設・自治体によって扱いが異なるため、電話の際にあわせて確認しておくと安心です。
参照ソース(一次情報)
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」|授乳期の支援に関する国の指針
- 東京消防庁「救急相談センター(♯7119)」|夜間・休日の受診相談窓口
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」|全国の実施状況
- 厚生労働省「産後ケア事業」|自治体の産後ケア事業の制度概要