【医師監修】乳腺炎のときの食事と過ごし方|授乳・安静・水分・温める冷やすの考え方

乳腺炎のときの食事と過ごし方|授乳・安静・水分・温める冷やすの考え方(母乳ナビ・医師監修)

乳腺炎で乳房が痛んだり熱が出たりすると、「授乳は続けていいの?」「何を食べればいい?」「どう休めばいい?」と不安になりますよね。産後の疲れがたまるなかでの体調不良は、それだけでつらいものです。ここでは乳腺炎のときの食事と過ごし方を、授乳・安静・水分・体を休める工夫・温める/冷やすの考え方を中心に、医師監修でやさしくまとめます。

本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。感じ方や経過には個人差があり、実際の診断・治療は医療機関で行われます。つらいとき・判断に迷うときは、早めに産婦人科・母乳外来・助産院にご相談ください。

授乳は続けてよい?

乳腺炎の多くは、乳房に乳汁がたまって流れが滞ることが背景にあります。そのため一般には、痛みがあっても授乳や搾乳を続け、乳汁の流れを保つことが勧められています。急に授乳をやめてしまうと、かえって乳汁がたまりやすくなることがあるためです。

  • 赤ちゃんが飲めるようであれば、いつも通りの授乳を無理のない範囲で続けるのが基本とされています。
  • 張りや痛みが強いときは、授乳のあとにやさしく搾乳して残りを減らす方法もあります。強く搾りすぎると刺激になることがあるため、痛くない程度にとどめます。
  • 飲ませる姿勢を変えると、乳房のいろいろな部分から飲んでもらいやすくなるといわれています。

なお、乳腺炎で薬を使う場合でも、多くは授乳を続けられることが一般的ですが、自己判断で市販薬を使わず、処方や授乳の可否は必ず医師・薬剤師に確認してください。

安静と睡眠 ―― まず「休む」ことを大切に

乳腺炎のときにいちばん大切にしたいのが、体を休めることです。疲労や睡眠不足は体の回復力に影響するとされ、無理を重ねると経過が長引くこともあります。

  • 家事や上の子のお世話などは、できる範囲で家族に頼る・後回しにすることを考えてみてください。
  • 赤ちゃんが眠っているときは、一緒に短くても横になって休む時間をつくりましょう。
  • 「頑張らないと」と気を張りやすい時期ですが、休むことも回復に向けた大切なケアです。

水分と食事の考え方

水分はこまめに

発熱があるときや授乳中は水分が失われやすいため、のどが渇く前にこまめに水分をとることが一般に勧められます。水・麦茶・白湯など、飲みやすいもので構いません。

食事はバランスよく、脂っこいものは控えめに

「この食べ物を食べれば乳腺炎が治る/防げる」という特定の食品があるわけではありません。特別な食事制限が必要とされているわけでもなく、基本は栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切とされています。

  • 体調がすぐれないときは、おかゆ・スープ・煮物など消化にやさしく食べやすいものから。
  • 脂っこいものや甘いものが続くと胃腸に負担がかかりやすいため、控えめにして様子をみるのは一般的な生活の工夫です。
  • 食欲が落ちているときは、まず水分と、食べられるものを少しずつで構いません。
食べ物の影響の感じ方には個人差があります。特定の食品を「悪者」にして過度に我慢する必要はありません。つらいときはまず休息と水分を優先し、食事は無理のない範囲で整えていきましょう。

温める?冷やす?

「温めた方がいいのか、冷やした方がいいのか」は迷いやすいポイントです。一般的な考え方を整理します。

  • 授乳・搾乳の前:軽く温めたり、蒸しタオルをあてたりすると、乳汁が流れやすく感じることがあるとされています。入浴やシャワーで温まるのも一つの方法です。
  • 授乳・搾乳のあとで、腫れや熱感・痛みが強いとき:清潔なタオルで包んだ保冷剤などで短時間、心地よい範囲で冷やすと、張りや痛みがやわらぐと感じる方もいます。

いずれも「必ずこうすべき」というものではなく、ご自身が楽に感じる方法を選ぶことが目安になります。強く長く冷やしすぎる・熱いものを直接あてるなどは避け、心地よさを大切にしてください。

やってみたい過ごし方のヒント

1

休む

赤ちゃんと一緒に横になる時間を優先。家事は頼れるところは頼る。

2

流れを保つ

痛くない範囲で授乳・搾乳を続け、乳汁をためこまない。

3

水分と食事

こまめな水分と、消化にやさしい食事を少しずつ。

こんなときは我慢せず受診を

🚨 早めに受診したいサイン

  • 38.5℃以上の発熱・悪寒・関節痛などの全身症状がある
  • 乳房の強い発赤・腫れ・激しい痛みがある
  • セルフケアや休息をしても24時間たっても改善しない
  • しこりがどんどん大きくなる/膿や血が混じる
  • つらくて授乳や休息が思うようにとれない

当てはまるときは無理をせず、産婦人科・母乳外来・助産院にご相談ください。夜間や休日で判断に迷うときは、地域の救急相談窓口(#7119 など)も活用できます。

あわせて読みたい:症状や受診先の目安、受診前にできることもまとめています。
👉 乳腺炎とは・受診の目安受診前のセルフケア電話する前のチェックリスト

← 乳腺炎まとめトップへ戻る

食事制限の考え方

「脂っこいものを食べると詰まる」「甘いものは避けるべき」といった話は広く知られていますが、特定の食品が乳腺炎の直接の原因になるという確かな根拠は乏しいとされています。

むしろ産後は、回復と授乳のために十分な栄養が必要な時期です。厳しい食事制限は、必要な栄養が不足するだけでなく、「あれを食べたから詰まったのだ」と自分を責める材料にもなります。

実際的な考え方は次のとおりです。

  • 普通にバランスよく食べるのが基本
  • 水分をこまめにとる。発熱時はとくに意識して
  • 特定の食品でご自身が明らかに調子を崩すなら、その食品は控えて構いません
  • ただしそれを他の人に一般化しない

休むことは治療の一部

「休んでください」は、産後にいちばん実行しにくい助言です。それでも、休息は根性の問題ではなく回復に必要な条件です。

  • 赤ちゃんが寝ているあいだの家事を、この期間だけ一つ手放す
  • 横になれる時間を一日のどこかに確保する
  • 宅配・総菜・家事代行など、使えるものは使う
  • 「自分が休むと家が回らない」——乳腺炎を長引かせるほうが、結果的に動けない時間が長くなります

家族にお願いすること

ご家族が読んでいる場合のために、具体的に書いておきます。

  • 赤ちゃんを1時間抱いている:その1時間の睡眠が回復を早めます
  • 食事の用意・洗濯・買い物を引き取る
  • 受診の送迎をする:発熱があるなかでの移動は大きな負担です
  • 上の子を見る
  • 「頑張って」と言わない:本人はすでに十分頑張っています。代わりに具体的な作業を引き受けてください

体を冷やす・温めるについて

一般には、授乳・搾乳のあとに短時間冷やすと痛みや腫れがやわらぐことがあるとされます。一方、熱いお風呂で長く温めると、血流が増えて張りが強くなることがあります。入浴はシャワー程度にとどめるのが無難です。

ただし感じ方には個人差があります。つらくなる方法は続けないでください。

👉 具体的なケアはセルフケアのページにまとめています。

参照ソース(一次情報)

🩺 医師監修
参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」、公益社団法人 日本助産師会、日本産科婦人科学会などの一般向け情報にもとづき作成。
本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断・治療に代わるものではありません。受診の前には各施設へお電話で確認されることをおすすめします。症状が強いとき・改善しないときは医療機関を受診してください。(情報更新日:2026-07-16)
タイトルとURLをコピーしました