乳腺炎で高熱や強い痛みがあると、「薬を飲みたいけれど、授乳中でも大丈夫?」「赤ちゃんに影響しない?」と不安になりますよね。結論からいえば、授乳を続けながら治療できることが多いとされていますが、大切なのは自己判断せず、医師・薬剤師に相談することです。ここでは、乳腺炎の治療で薬がどう考えられるのかを、医師監修でやさしくまとめます。
まず、乳腺炎のタイプで対応が変わります
乳腺炎には、母乳のうっ滞(流れの滞り)が主な「うっ滞性」と、細菌感染をともなう「化膿性」があります。どちらのタイプか、そしてどのくらい進んでいるかによって、必要な対応は変わってきます。
うっ滞性乳腺炎のとき
- 基本は乳汁の流れをよくすること(授乳・搾乳・休息・冷却など)が中心になります。
- 痛みや軽い発熱に対して、症状をやわらげる薬が検討されることもありますが、まずはうっ滞の解消が優先されます。
- 多くの場合、うっ滞がとれてくると症状も落ち着いていきます。
化膿性乳腺炎のとき
- 細菌感染をともなうため、医師の判断で抗菌薬(細菌に対する薬)が用いられることがあります。
- 高熱・強い痛み・全身症状があるときは、我慢せず早めに受診してください。
- 抗菌薬が処方された場合は、途中で症状が軽くなっても、指示された期間は最後まで飲みきることが大切です。自己判断で中断すると、ぶり返すことがあります。
「授乳中の薬」の一般的な考え方
授乳中のお母さんが使う薬について、心配になるのは自然なことです。ただ、乳腺炎の治療で用いられる解熱鎮痛薬や抗菌薬には、医師が「授乳を続けながら使える」と判断できるものがある場合が多いとされています。実際、治療のために授乳をやめる必要は必ずしもなく、むしろ飲ませたり搾ったりして乳汁の流れを保つこと自体が、うっ滞性乳腺炎のケアになると考えられています。
とはいえ、どの薬が適しているか・どのくらい使うかは、症状やお母さんの体調、赤ちゃんの状況によって変わります。だからこそ、薬の要否や種類は必ず医師・薬剤師に相談して決めることが基本です。
市販薬を自己判断で使う前に
「とりあえず家にある薬で」「ドラッグストアの薬で様子を見よう」と考えたくなるかもしれません。けれど、授乳中は次の理由から、自己判断での市販薬の使用はおすすめできません。
- 市販薬の中には、授乳中の使用について慎重な確認が必要な成分が含まれていることがあります。
- 薬で熱や痛みを抑えても、化膿性乳腺炎など「治療が必要な原因」が隠れてしまい、受診が遅れることがあります。
- 市販薬でしのいでいるうちに、膿がたまる(乳房膿瘍)まで進んでしまうこともあります。
薬局で薬を選ぶときも、「授乳中で乳腺炎かもしれない」と伝えて、薬剤師に相談するようにしてください。
こんなときは薬より先に受診を
🚨 早めに受診したいサイン
- 38.5℃以上の発熱・悪寒・関節痛など、全身のつらさがある
- 乳房の強い発赤・腫れ・ズキズキした痛みがある
- セルフケアや市販薬で24時間ほどたっても改善しない
- しこりがどんどん大きくなる/膿や血が混じる
- 赤ちゃんが飲みたがらない・つらくて授乳が続けられない
当てはまるときは、薬でしのごうとせず産婦人科・母乳外来・助産院にご相談ください。夜間・休日で迷うときは、地域の救急相談窓口(#7119 など)も活用できます。
膿がたまってしまった場合(乳房膿瘍)
化膿性乳腺炎が進むと、乳腺の中に膿がたまる乳房膿瘍になることがあります。この場合は薬だけでは治りにくく、医療機関で膿を出す処置(針でひく・小さく切開するなど)が必要になることがあります。こわく感じるかもしれませんが、適切に処置されれば落ち着いていくことが多いとされています。膿瘍のときも、医師の判断で授乳やケアの続け方について相談できます。「しこりが大きく硬い」「一部が特に痛くブヨブヨする」と感じたら、早めに受診してください。
治療中に安心して過ごすために
- 処方された薬は、医師・薬剤師の指示どおりに使いましょう。
- 気になることは遠慮せず、その場で質問してください。「授乳を続けていいですか」と聞くだけでも大丈夫です。
- 薬とあわせて、授乳・搾乳・休息・水分など、うっ滞を防ぐケアも続けると安心です。
- 受診先に迷ったら、受診先の選び方も参考にしてください。